
シロアリの発生時期は種類によって異なり、「ヤマトシロアリ」なら4月から5月、「イエシロアリ」なら6月から7月、「アメリカカンザイシロアリ」なら6月から10月頃までとなります。
しかしこの発生時期とは、あくまでもシロアリが羽アリとなって飛び立つ時期であり、成虫の状態のシロアリは1年を通して活動を続けます。

この記事ではシロアリが活動できる気温や、羽アリの発生時期、また羽アリを見つけた場合の対処法などについて詳しく解説いたします。これからシロアリ駆除を検討されている方はぜひ参考にして下さい。

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シロアリが活動できる気温


シロアリは基本的に暖かい場所や湿気のある場所を好みます。
植物や虫が活発に動き回れる気温の事を「好適温度」と言いますが、シロアリの好適温度はヤマトシロアリで12℃から30℃、イエシロアリで30℃から35℃と言われています。


日本においては春から夏頃にかけて上記の気温となるため、この時期はシロアリが活発に動き回る時期といえます。
一方で、植物や虫が最低限活動できる気温の事を「活動温度」と言います。シロアリの場合、ヤマトシロアリが6℃、イエシロアリが10℃と言われています。


日本では冬の時期になると上記の気温より低くなる事がありますが、この間シロアリは活動を止める訳ではありません。
シロアリは土の中や木材の中などに潜みますので、なるべく気温の影響を受けないような場所に移動していきます。また近年の住宅の断熱性能の高まりなどにより、住宅の床下では1年を通して活動を続ける事ができます。
こうした理由でシロアリは1年中冬眠をする事はなく、冬の時期であっても住宅の床下では被害を及ぼし続けます。
シロアリが発生する時期


ここまでにシロアリは1年中活動を続ける事が分かりましたが、シロアリは明るい場所や風の当たる場所を嫌うため、土の中や木の中に巣を作って生活をしています。そのため人間の日常生活の中でシロアリを見つける事は非常に珍しいといえます。
ただしシロアリは種類によって決まった時期に羽アリとなる習性を持っており、この羽アリがお庭や室内で大量に飛び立つことによって初めて自宅のシロアリ被害に気付き、シロアリ駆除を依頼される方が大勢いらっしゃいます。
つまりシロアリは1年を通して活動(発生)をしているものの、我々人間が目にするのは羽アリとなる時期に限られるという事になります。
シロアリの羽アリが発生する時期


シロアリが羽アリになる時期は上記表の通りです。
「ヤマトシロアリ」は4月から5月、「イエシロアリ」は6月から7月、「アメリカカンザイシロアリ」は6月から10月となります。種類によって細かい違いはあるものの、およそ春から夏にかけて大半のシロアリは羽アリとなって巣から飛び立ちます。
羽アリが一度に飛び立つ量は数百匹から数千匹におよび、特に室内でシロアリの羽アリが発生するとパニックとなる方も大勢いらっしゃいます。




このように室内やお庭で大量の羽アリを見かけた場合はシロアリ被害が疑われますので、すぐにシロアリ駆除業者に相談しましょう。
なぜシロアリは羽アリになる?


シロアリは一つの巣の中で出産を繰り返して数を増やしていきます。シロアリの数が多くなり巣が窮屈になると、一部のシロアリが新たな巣を作るために一斉に飛び立ちます。
この際にシロアリは羽アリへと姿を変え、地面に着陸した羽アリは雄雌一対となり交尾を行い、土中に潜って新たな巣を形成します。
このようにシロアリが飛び立つ現象を群飛(ぐんぴ)と言い、一回の群飛で100~1,000匹以上の羽アリが飛び立ちます。
シロアリが羽アリとなって繁殖を始める流れなど、シロアリの生態の全体像は次の記事で詳しく解説しています。
羽アリが出ていけばシロアリはいなくなる?


シロアリが“群飛(ぐんぴ)”を行うと2~3日の間は羽アリが発生しますが、その後はピタリと羽アリの発生が止まります。しかし、羽アリが出なくなったからといって“シロアリがいなくなった”訳ではありません。
シロアリが1度の群飛で羽アリとなる割合は巣の中の1~3%前後と言われており、羽アリとならなかった残り97%以上のシロアリは、床下やお庭などで活動を続けています。


このため羽アリを見かけた場合にはすぐにシロアリ駆除業者に相談するのが好ましく、たとえ羽アリの発生が止まったからといって油断せず、必ずシロアリ駆除業者に床下やお庭を点検してもらうようにしましょう。
その他の“シロアリがいなくなった”と感じてしまう理由などについて以下の記事で詳しく解説しています。



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シロアリとクロアリの羽アリの見分け方
シロアリが羽アリとなる際は太陽の光などから身を守るためにメラニンを形成し、体の色を黒く変色させます。そのため、一見するとクロアリの羽アリと見分けが付かない事があります。


しかし「シロアリの羽アリ」と「クロアリの羽アリ」では外見的な特徴が異なり、注視すれば見分ける事が可能です。
実際の羽アリの写真と特徴を図解でまとめたものが以下になります。




発生した羽アリがクロアリの場合には特に対処する必要はありませんが、もしシロアリの羽アリだった場合には早急に対処が必要です。
このような「シロアリの羽アリ」と「クロアリの羽アリ」の違いについては、以下の記事で画像・動画を用いて詳しく解説していますのであわせてご覧下さい。
シロアリ・羽アリを見つけたら?


シロアリ、羽アリを住宅内で発見した場合には慌ててしまいますが、落ち着いて対処すれば被害を最小限に抑える事ができます。
まず羽アリを発見した場合には掃除機で吸い込むなどして対処しましょう。また羽アリが出現している穴などが見つかれば、テープで塞いでしまって問題ありません。
シロアリそのものを発見した場合には特に対処する事はありません。強いて言えば被害部を露出させておけば、乾燥を嫌うシロアリは見えない場所に逃げていきます。
シロアリの対処法として注意したいのが殺虫剤の使用は控えるという点です。殺虫剤では巣の中のシロアリを全て死滅させる事はできず、危険を察知したシロアリが他の場所から被害を及ぼす可能性があります。
このようなシロアリを見つけた場合の対処法については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧下さい。
シロアリ駆除に最適な時期とは?


シロアリは1年中活動をしている事から、シロアリ駆除に適した時期というのは存在しません。
参考までに、私たちアリプロが1年を通してシロアリ駆除を行う月毎の件数は以下の通りです。
2022年 | 件数 |
---|---|
1月 | 50件 |
2月 | 47件 |
3月 | 47件 |
4月 | 69件 |
5月 | 85件 |
6月 | 75件 |
7月 | 89件 |
8月 | 74件 |
9月 | 76件 |
10月 | 75件 |
11月 | 71件 |
12月 | 70件 |
2023年 | 件数 |
---|---|
1月 | 53件 |
2月 | 46件 |
3月 | 45件 |
4月 | 66件 |
5月 | 89件 |
6月 | 88件 |
7月 | 92件 |
8月 | 52件 |
9月 | 70件 |
10月 | 69件 |
11月 | 78件 |
12月 | 63件 |
羽アリが発生する春から夏にかけて増加傾向にあるものの、1年間を通して大きな変動無くシロアリ駆除を実施しています。
こうした事から、シロアリや羽アリを発見した場合ももちろんですが、シロアリ被害の兆候などが見られたり疑われる場合にはたとえ冬場であっても早急に対処する事が重要です。
シロアリ駆除と時期の関係については以下の記事で詳しく解説しています。



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シロアリが発生する原因
シロアリの発生を防ぐためには、シロアリが発生してしまう原因を理解し対策をする事が重要です。ここではシロアリが発生してしまう主な原因について解説いたします。
【原因1】湿気が強い


シロアリが湿気を好む事は知られていますが、住宅の床下が土で出来ている場合には土壌の影響を受けて湿気が強くなる傾向にあります。
その他にも、基礎が入り組んでいたり床下が低い場合などにも湿気が強くなる傾向にあるため注意が必要です。
【原因2】カビ・腐朽菌が発生している


湿気が影響して床下の木材にカビや腐朽菌が発生している場合もシロアリの発生原因となります。
特に木材の強度を大きく低下させてしまう「白色腐朽菌」や「褐色腐朽菌」は、その成分がシロアリをおびき寄せる効果を持つ事が分かっています。
【原因3】日陰の多い環境


床下は常に日陰となっているためしょうがない環境ですが、お庭などの外部に日陰が多い事もシロアリが発生してしまう原因となります。
特に住宅周辺の基礎に日陰ができてしまうと、そこからシロアリが侵入しやすくなってしまいます。
こうしたシロアリが発生する原因やその対策方法については、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にして下さい。
シロアリ被害の初期症状
ここからは羽アリが発生する以外のシロアリ被害の初期症状について解説します。もしシロアリの羽アリが発生していなくても、以下のような症状が見られたらシロアリ駆除業者への相談を検討しましょう。
蟻道を発見した


シロアリは日光や風などから身を守るため、蟻道(ぎどう)と呼ばれるトンネルのようなものを作り木材へと侵入します。
こうした蟻道が住宅の基礎や床下にできていればシロアリ被害に遭っている可能性が非常に高くなります。定期的に住宅の基礎などを確認し、この蟻道ができていないかを確認するようにしましょう。
床や畳がきしむ、フカフカする


床や畳がきしんだりフカフカする場所があれば、床板などを支える木材がシロアリ被害に遭っている可能性があります。
築年数が経過するとシロアリ被害に遭っていなくても上記のような症状が出てしまう事がありますが、もしシロアリ被害であればさらに住宅の強度が下がってしまう可能性があるので、早めに床下点検などを実施するようにしましょう。
ドアや窓の建て付けが悪くなった


こちらも築年数の経過とともに現れる現象でもありますが、ドアや窓を支える木材がシロアリ被害に遭っている可能性もあります。
違和感を感じたら放置せず、まずは床下などがシロアリ被害に遭っていないかを確認するようにしましょう。
このようなシロアリ被害の初期症状については以下の記事で詳しく解説しています。シロアリ被害が心配な方はぜひ参考にして下さい。
シロアリが発生する前に定期的な消毒を


シロアリ消毒は新築時こそ建築基準法により義務化されていますが、その後の判断は住宅の持ち主に委ねられます。
シロアリや羽アリを発見した場合はもちろんですが、シロアリの兆候がなくとも定期的に床下の調査などを実施しておくと安心です。
良いシロアリ駆除業者の選び方や、シロアリ駆除の費用については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にして下さい。



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【保有資格】
・日本しろあり対策協会「しろあり防除施工士」
・日本健康住宅協会「健康住宅アドバイザー」