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【画像付き】「イエシロアリ」とはどんなシロアリ?イエシロアリの特徴、羽アリの生態、被害・対処法を解説

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日本には20種類のシロアリが生息しており、特に「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の3種類が住宅に被害を与えます。

中でもイエシロアリは、被害のスピードが早く、規模も大きいため、最も注意が必要なシロアリです。

イエシロアリの生態や被害の傾向は、おおむねヤマトシロアリと似ていますが、異なる点も多々あるため、戸建ての住宅にお住まいの方ならぜひ理解しておきましょう。

ところが、シロアリ被害として数が多いのは圧倒的にヤマトシロアリであり、インターネットで検索して見つかるシロアリの情報もヤマトシロアリを対象にしたものがほとんどです。

そこでこの記事では、今まであまり取り上げられてこなかったイエシロアリの特徴に焦点を当てて解説してまいります。画像を交えつつ、イエシロアリの生態、羽アリの特徴、被害の傾向などを紹介しますので、ぜひ参考にして下さい。ヤマトシロアリとの違いもわかりやすく説明いたします。

※わかりやすくお伝えするために記事内では多数のシロアリの画像・動画を掲載しております。虫が苦手な方は注意してお読みいただくようにお願いします。

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イエシロアリの特徴

イエシロアリとは?

イエシロアリは、ゴキブリ目ミゾガシラシロアリ科に分類されるシロアリの一種です。姿・形や生態の似たヤマトシロアリも同じ科に属しています。

イエシロアリ

イエシロアリやヤマトシロアリのように、地下に生息して蟻道を作り、木材を加害するシロアリを総称して「地下シロアリ」と呼ぶこともあります。

イエシロアリは中国や台湾が原産ですが、人為的に持ち込まれることで世界中に広がっています。現在は日本をはじめ、アメリカ大陸やアフリカ、太平洋の島々にも生息しており、現在進行形で分布を広げていると考えられています。

世界各地で甚大な被害を引き起こしているため、シロアリの中でも最も恐れられている一種です。

 

イエシロアリの生息地域

日本では、イエシロアリは千葉県以西の海岸線沿いと、小笠原諸島に生息しています。

出所:日本しろあり対策協会

分布図を見てみると、温暖な地域に被害が集中していることが見て取れます。

実際、西日本では、一般の住宅や街路樹などが、イエシロアリによって激しく加害される被害が頻繁に発生しています。

活動温度域は9度~38度です。適温の30度~35度で活性が高くなり、食害が進みやすくなります。

 

イエシロアリの巣

イエシロアリの大きな特徴の1つは、地下に固定した巣を構築して、巣と餌場(加害部)を使い分けて生活することです。この点、ヤマトシロアリは巣と餌場がはっきり分かれていないという違いがあります。

さらに、巣は女王と王のいる根拠地となる「本巣」と、中継基地となる「分巣」に分かれて構築されます。

イエシロアリの巣(本巣と分巣)の全体像
イエシロアリの巣(本巣と分巣)の全体像

1つの巣に生息するシロアリは多いときで100万匹にも達します。最大でも数万匹程度のヤマトシロアリの巣に比べると非常に巨大で、このためにイエシロアリの被害はスピードが早く、建物が襲われると瞬く間に損傷を受けることになります。

イエシロアリの巣の形は球形が基本ですが、壁の内部などに営巣した場合は薄く広がることもあります。巣の中は同心円状の小室で区切られており、中央には女王アリのいる王室があります。巣の大きさは最大で1mにもなります。

巣は、カートン(carton)と呼ばれる木材や土壌とシロアリ自身の唾液や排泄物がブレンドされた材料が層状に重ねられて構築されます。職蟻(働きアリ)が、このような巣の構築を担います。

巣内の温度は外気温や地表の温度より高く、安定しており、イエシロアリが活動しやすい環境となっています。

また、もし本巣が壊されても、加害部や分巣にニンフがいれば、新たな女王アリ・王アリが誕生し、再びコロニーが形成されます。

イエシロアリは、街中では住宅地の地下に営巣して住宅を加害することが多いですが、野生では樹木の株元で根の下側、大木の樹幹などに営巣することが多いです。

 

イエシロアリの蟻道

イエシロアリは本巣を拠点に、餌を求めて蟻道を張り巡らせ、広い範囲で活動します。活動範囲はヤマトシロアリよりも広く、半径100mもの規模になることもあります。

イエシロアリの蟻道

イエシロアリの蟻道の特徴は、餌を取るための蟻道だけでなく、水を獲得するための専用の蟻道も構築することです。これを「水取り蟻道」といい、巣と水源を繋ぐ蟻道を作り、水分を摂取できるようにします。

蟻道の種類説明
餌取り蟻道巣と餌場(加害場所)を繋ぐ蟻道
水取り蟻道巣と取水場所を繋ぐ蟻道
群飛用蟻道羽アリが群飛の際に地表に出るための蟻道。短期間で構築される
イエシロアリの作る蟻道の種類

 

イエシロアリは水取り蟻道によって水分を確保するため、乾燥した場所にも侵入し、採餌することができます。ヤマトシロアリに比べてイエシロアリの方が広範囲・大規模な被害を引き起こす一因は、このような習性の違いにあります。

日本しろあり対策協会は、イエシロアリの水取り蟻道について次の通り説明しています。

イエシロアリの水取蟻道は通常、本巣の底から地中へ数本伸びており、地下水、溝や池、給排水管の漏水や結露、地下室の結露、雨漏りの水などが給水源である。蟻道を構築する材料は蟻土と同じで、排出物、土砂、食物片などを唾液で練り合わせたものを用い、職蟻がこれらの小片を積み重ね、これを裏打ちする方法で作られる。蟻道には最も近いところにある材料を使用するので、地面から離れた場所では土壌をほとんど含まない場合があり、蟻道の色も使用する材料により異なる。

日本しろあり対策協会「シロアリ及び普及防除施工の基礎知識」

また、イエシロアリの巣は、地下水や雨水が入り込みすぎないように、取水場所よりも高いところに構築する工夫が見られます。

イエシロアリは、ヤマトシロアリと同様、乾燥に弱く、体内の水分量の50%を失うと死に至ります。ただし、イエシロアリの方が体内の水分の減少速度がやや遅く、水分が無くても長生きすることができます。

 

イエシロアリの攻撃性

イエシロアリはヤマトシロアリとは異なり、強い攻撃性を持っています。

階層でいうと、攻撃を担うのは兵蟻(兵アリ)です。

ヤマトシロアリの兵蟻の場合、「兵」といえども外的と戦闘を行うことは基本的にありません。羽アリが群飛する際に一緒に出て、天敵に襲われたときに羽アリの身代わりになったり、巣を塞いで侵入を妨げたり、といったように、受け身に徹した戦いをするのが特徴です。

一方、イエシロアリの兵蟻は、大あごで外的を挟んで攻撃したり、頭部の額腺から乳白色の粘液を出し、相手の動きを鈍くさせたりします。外敵に対して自ら果敢に立ち向かうのがイエシロアリの兵蟻の特徴です。

 

またヤマトシロアリとイエシロアリを見分けるうえで兵蟻の違いが目印とされます。頭部が楕円形で大きいものがヤマトシロアリ、頭部が卵型で小さいものがイエシロアリの兵蟻となります。

イエシロアリヤマトシロアリ
大きさ3.8mm~6.5mm3.5mm~6.0mm
攻撃性好戦的で、大あごで噛みついたり、粘液を出して攻撃する受け身で、自分から攻撃を仕掛けることは無い
見た目の特徴頭部が楕円形で、全長の約1/3ほど頭部が長方形に近くて長く、全長の約1/2を占める
イエシロアリとヤマトシロアリの兵蟻の違い

 

イエシロアリの羽アリ

シロアリの羽アリとは?

シロアリの多くの種が、繁殖のために特定の時期に羽アリとなり、群飛(スウォーム)を行うというユニークな習性を持っています。

地面に降りた羽アリは羽を落とし、雌雄のつがいとなって移動し、新しい巣を創設します。

この過程では、巣から出たばかりの羽アリが他の生き物に捕食されたり、ペアの相手が見つからなかったりするなど、厳しい試練が続きます。無事に飛び立ち、相手を見つけ、繁殖を始めることができるのはごく僅かな割合だと考えられます。

また、群飛が行われる時期、温度、湿度、風速などの条件はシロアリの種類によって細かな違いがあります。

 

イエシロアリの羽アリの群飛

イエシロアリも他の種類と同様に、繁殖期に羽アリが一斉に群飛を行い、新たなコロニーを形成します。イエシロアリの場合、雌雄のペアになってからおよそ5日~20日後に最初の産卵が行われます。

イエシロアリの羽アリ

イエシロアリの群飛が行われるのは、沖縄や小笠原では5月下旬から、その他の地域では6月~7月です。時間帯としては気温や湿度が高い日の夕方がほとんどです。1時間以内に終わるため、本当にあっという間の出来事だと言えます。

イエシロアリの羽アリは光に集まる習性があり、人家周辺の街灯や電灯に集まる姿がよく見られます。

また、羽アリは本巣からだけでなく、分巣から出ることもあります。本巣からの群飛と、分巣からの群飛のタイミングは必ずしも一致しません。

イエシロアリとヤマトシロアリは、日本各地の住宅に被害をもたらす代表的な2種ですが、羽アリの群飛の条件は次のような違いがあります。

イエシロアリヤマトシロアリ
時期6月~7月上旬
(沖縄や小笠原では5月下旬から)
4月~5月
(東北・北海道では6月)
時間帯夕方午前10時~12時
気候温暖多湿な日温暖多湿な日
その他光を好み、街灯や電灯に集まる降雨の翌日、快晴となった日が多い
イエシロアリとヤマトシロアリの群飛の条件

 

イエシロアリの羽アリの見た目

続いて、イエシロアリの羽アリの見た目の特徴も紹介します。

イエシロアリの羽アリは、全体的に黄褐色で、頭部が黒がかっているのが特徴です。羽は半透明の淡い黄色をしています。

ヤマトシロアリは体色が黒っぽく、体長はイエシロアリよりも小さめです。羽アリを見つけた際にきちんと観察すれば、どちらの種類か見分けることができます。

写真で比較すると次の通りです。

イエシロアリヤマトシロアリ
体の長さ7.4mm~9.4mm4.5mm~7.5mm
体の色頭部は黒っぽく、身体は黄色っぽい全体的に黒っぽく、背中に黄色い節がある
羽の長さ9.2mm~12.8mm7.0mm~7.4mm
羽の色半透明で黄色っぽい半透明で黒っぽい
イエシロアリとヤマトシロアリの羽アリの違い

 

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イエシロアリの被害

イエシロアリによる被害の実態

続いて、イエシロアリによる住宅の被害の実態について見ていきましょう。

日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合による「シロアリ被害実態調査報告書」によると、日本全国のシロアリ被害を種類別に見ると次のようになっていました。

出所:日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合「シロアリ被害実態調査報告書」

A~Cの区分の定義は次の通りです。

A(全体の 50%):防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B(全体の 25%):防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C(全体の 25%):過去 6 年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)

この通り、イエシロアリの被害は、C区分に該当する近年、駆除履歴のある物件に多く見られます。つまり、駆除を行っても被害が再発しやすいのがイエシロアリだと言えます。

この背景には、前述した通り、イエシロアリが巨大で複雑な巣を構築し、一部の分巣にいるイエシロアリが駆除されても、本巣にいるイエシロアリが再び侵入してくる、といった習性があると考えられます。

 

イエシロアリが加害する場所

シロアリは、植物細胞の主成分であるセルロースを餌として生きる昆虫です。野生で枯れた樹木や枝葉だけでなく、人家や庭で使われている木材も餌にしてしまいます。

また、冒頭で触れた通り、イエシロアリは地下シロアリとも呼ばれます。普段は土中に生息しており、床下から住居に侵入し、床下や柱、壁などの木材を加害していきます。

イエシロアリの特徴の1つは、ヤマトシロアリよりも乾燥に強く、水が無くても2日間も生きることができる点です。

ヤマトシロアリによる被害は湿気がある場所で起こりますが、イエシロアリは、床下の湿度が低かったり、木部が乾燥していても、侵入して加害することができます。

そのため、ヤマトシロアリの場合、被害場所は基本的に床下と1階に限られることが多いものの、イエシロアリは2階以上や屋根裏にまで被害が拡大することもあります。

また、イエシロアリの生息域は最大で半径100mと広範囲に渡り、生息数も多いため、数軒の住宅を同時に加害していることもあります。

以上のような習性の違いから、イエシロアリによる家屋への被害は大規模になりやすいです。気付いたときには床下や家中の柱・壁・屋根がボロボロに食害されていた、というケースも頻発しています。

また、イエシロアリが加害した跡は乾いており、ヤマトシロアリと異なり排出物も無いため清潔に見えるという特徴もあります。

 

イエシロアリによる生きた草木の被害

シロアリは基本的に枯死した木や枝を食べる生きる生き物ですが、イエシロアリは生きた樹木や穀物も加害することがあります。

現在、イエシロアリが分布する小笠原諸島には、第二次大戦後に侵入したと考えられています。小笠原では、住宅や植栽木だけでなく、森林内の樹木にも被害が発生しています。

世界中のイエシロアリによる被害事例の集計結果によると、原産地ではない地域にイエシロアリが持ち込まれると、樹木が被害を受ける傾向があると考えられています。

また、沖縄県ではサトウキビが被害を受けて問題となっています。県はイエシロアリによるサトウキビの被害を次のように説明しています。

シロアリの被害として、苗の場合は切り口から茎内部に食入し、肉質部をほとんど食い尽し、発芽不能となる。立毛茎の場合は、茎内部が中空となり、枯死するに至る。

出所:沖縄県 病害虫防除(病害)

 

イエシロアリの駆除

以上のような習性を持つイエシロアリの駆除するにはどうしたらよいでしょうか?

駆除にあたってポイントとなるのは、前述の通り、イエシロアリが、本巣と分巣に別れ、広範囲にコロニーを形成するという特徴を持っている点です。もし分巣のイエシロアリだけを駆除しても、本巣が残っていれば再び巣は拡大し、被害が繰り返されます。

このようなイエシロアリを確実に駆除するためには、できるだけすべての巣を特定し、撤去することがポイントとなります。もしすべての巣を駆除できない場合は、再発しないように施工後の定期点検を念入りに実施します。

施工作業においては、コロニー全体を駆除できるように、遅効性のある専門の薬剤を、適切な方法で散布・注入します。

薬剤の遅効性は二次伝播性能(ドミノ効果)とも言います。二次伝播性能のある薬剤に触れたシロアリはすぐに死滅せず、巣に持ち帰って他の個体と接触(グルーミング)を行い薬剤を拡散させます。しばらく時間が経過してから、両者の個体に効果が現れ、共に死んでいきます。

このように、巣全体に広く薬剤が伝播し、すべての個体に行き渡ることで、本巣・分巣を含めて巣全域のイエシロアリを駆除することができます。

シロアリ専門の薬剤については次の記事で詳しく解説しています。

またイエシロアリは、ヤマトシロアリと異なり、床下と1階だけを処理すれば良いわけではありません。2階以上の階や、屋根裏などにも侵入して加害するため、家屋で木材が使われている場所すべてを適切な薬剤を用いて処理する必要もあります。

 

イエシロアリ被害の予防

自分でできるイエシロアリ被害の予防

自分でできるイエシロアリ被害の予防方法には次のようなものがあります。

・屋外に木材を放置しない

庭や玄関先など、屋外に廃材やゴミ、ダンボールなどを放置していると、そこにイエシロアリがつくことがあります。

すぐに家屋の内部にまで侵入する恐れがあるため、不要な物は屋外に置いたままにせず、早めに処分するようにしましょう。

 

・基礎周辺に物を置かない

基礎周辺に蟻道が作られると、シロアリが侵入している証拠となるため、いち早く発見したいものです。

もし、基礎周辺に植木鉢やエアコンの室外機が置かれていたり、雑草が生い茂ったりする、蟻道が隠れてしまい、せっかくのシロアリ侵入のサインを見逃してしまう可能性があります。
基礎周辺には物を置かず、定期的にチェックするようにしましょう。

 

このようなイエシロアリの基本的な対策は、ヤマトシロアリと大きく変わりません。次の記事でも詳細を解説していますので、ぜひご覧ください。

 

確実な予防なら専門の駆除業者へ

とはいえ、自分でできる対策だけでイエシロアリの被害を完全に防ぐこと難しいです。

前述の通り、イエシロアリはヤマトシロアリより被害の進行も早いため、少しでもお住まいへの侵入を許したら瞬く間に各所が加害されてしまいます。

イエシロアリの被害が心配な方は、ぜひ専門のシロアリ駆除業者にご相談ください。まずはお住まいの住宅を丁寧に調査させていただき、必要な施工をご提案いたします。

 

イエシロアリの相談ならアリプロへ!

アリプロは、創業35年以上を超えるシロアリ駆除会社です。東京・千葉・埼玉・茨城に密着し、施工実績4.7万件を突破しています。

日本しろあり対策協会に加盟しており、調査・工事を行うスタッフは全員「しろあり防除施工士」の資格を保有しています。床下調査の際は、床下の状況をデジカメで撮影しお客様にお伝えします。

その他にも工事後の定期点検(5年間)1,000万円の修復保証などのアフターサービスも万全で、独自の水害保証も完備しております。

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執筆・監修者

林 翔平

2012年株式会社セスコに入社。シロアリ駆除業務に従事し、延べ2,000件以上の床下調査を実施。アリプロのコラム記事全ての執筆および監修を担当。

【保有資格】
・日本しろあり対策協会「しろあり防除施工士」
・日本健康住宅協会「健康住宅アドバイザー」

 

 

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