
「家の周りでシロアリを見つけた」「羽アリらしき虫が大量発生して困っている」といったとき、身近な害虫対策アイテムである「蚊取り線香」で対処できないかと考える方も多いのではないでしょうか?
蚊取り線香は点火するだけで煙が広がり、蚊をはじめとするさまざまな害虫を追い払うことができる優れものです。しかし、シロアリやその羽アリに対しては、どの程度の効果があるのでしょうか?
本記事では、「シロアリは蚊取り線香で駆除できる?」という疑問をお持ちの方に向けて、蚊取り線香の成分やその効果のメカニズム、さらにシロアリ・羽アリに対する駆除効果の有無をプロの視点から詳しく解説します。
また、市販されている他の殺虫剤によるシロアリ駆除の可能性や、シロアリが発生した場合の適切な対処法についてもあわせて紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

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「蚊取り線香」とはどのような殺虫剤か?
まずは、「蚊取り線香」がどのような殺虫剤なのか、その特徴や仕組みについて解説します。
「蚊取り線香」の特徴と商品概要
蚊取り線香は、夏場の蚊が大量発生する時期に広く使用される殺虫剤の一つです。




写真の出典:大日本除虫菊株式会社
火をつけて発生する煙によって害虫を追い払ったり、殺虫したりする効果があります。もともとは蚊(ヤブカ)やユスリカなどの小型の飛翔害虫(飛ぶ害虫)を対象としていますが、製品によっては他の虫にもある程度効果があるものもあります。
一般的な蚊取り線香は渦巻き状で、緑色や茶色をしています。
家庭の軒先に蚊取り線香が置かれた光景は、日本の夏の風物詩ともいえるでしょう。


「蚊取り線香」の使い方
蚊取り線香の使い方は非常にシンプルです。渦巻状の線香の端に火をつけ、専用の皿やホルダーにセットして室内や屋外の隅に置いておくだけです。
燃焼時間の目安
一般的な渦巻型の蚊取り線香は、一度火をつけると約6~8時間ほどかけてゆっくり燃焼します。夜間や夕方から夜にかけての蚊対策に適しており、寝室や縁側、ベランダなどでよく使用されます。
屋外用と室内用の違い
蚊取り線香には「屋内向け」と「屋外向け」の製品があります。「屋外専用」の製品は、煙が多めに出たり、風が吹いても煙が飛びにくいよう工夫されていることがあります。
「蚊取り線香」の有効成分と殺虫効果
蚊取り線香の主な有効成分は、ピレスロイド系化合物です。
蚊取り線香が開発された当初は、天然の「除虫菊(シロバナムシヨケギク)」という植物が原料として使われていました。除虫菊にはピレトリンという殺虫成分が含まれており、これがピレスロイド系化合物のもとになりました。


ピレスロイド系化合物は、昆虫の神経系に作用して麻痺を引き起こし、殺虫効果を発揮します。比較的低毒性で、人やペットへの影響を最低限に抑えつつ昆虫には効果を発揮するため、蚊取り線香だけでなく家庭用殺虫剤に広く利用されています。
蚊取り線香を使用すると、ピレスロイド系の有効成分を含んだ煙が周囲の空気中に広がり、その空間に入ってきた蚊などの害虫を殺虫したり、忌避(近づけないように)したりする効果があります。
「蚊取り線香」で駆除できる害虫
蚊取り線香が最も効果を発揮しやすいのは、その名前の通り蚊(ヤブカ)です。その他、ユスリカや一部の小型のハエなど、体の小さな飛翔害虫にも一定の効果があります。
一方で、ゴキブリやムカデなどは床や壁際を素早く移動し、煙が届きにくい隙間に逃げ込むため、蚊取り線香だけで十分な効果を発揮することは難しいでしょう。
シロアリの生態の基本 - シロアリはどこに生息している?
では、シロアリやその繁殖期の姿である羽アリには、「蚊取り線香」は効くのでしょうか?
それを理解するためには、まずシロアリの生態や特徴について詳しく知る必要があります。
特徴①:シロアリは暗く湿った場所を好む
シロアリ(主にヤマトシロアリ、イエシロアリなど)は、私たちの家屋に被害をもたらす代表的な害虫の一種です。
シロアリは木材を餌にし、湿った環境を好む性質を持つため、木造住宅や床下など湿気がこもりやすい木材部分を中心に被害が発生します。放置すると家の柱や土台が損傷し、建物の耐久性が低下する恐れがあります。


また、光や乾燥に弱い性質があり、地中や木材の内部など暗く湿度の高い環境に巣を作ります。温度・湿度が安定している床下、柱や壁の内部などが絶好の住処となり、人の目に触れることはほとんどありません。
そのため、家の構造内部までシロアリが侵入しているにもかかわらず、気付かないまま被害が進行してしまうケースも少なくありません。
特徴②:繁殖期に大量発生するシロアリの「羽アリ」
シロアリは巣を拡大するため、繁殖期になると羽を持った個体が巣から大量に飛び立ちます。これが一般的に「羽アリ」と呼ばれるものです。


住宅にシロアリが侵入して巣を作っている場合、屋内で羽アリが大量に発生することがあります。
屋内に羽アリが現れた場合は、すでに家の中にシロアリの巣が存在している可能性が高いです。
特徴③:複雑な集団をつくる「社会性昆虫」
シロアリは、集団で複雑な社会生活を送ることから「社会性昆虫」と呼ばれています。巣の中では各個体が明確な役割を持ち、ピラミッドのような階層構造を形成しています。


巣は基本的に一対の女王アリと王アリから始まり、そこから働きアリや兵アリ、ニンフ、副女王・副王、羽アリなど、さまざまな役割を持つ個体が生まれます。
個体数は、ヤマトシロアリの場合で数万~数十万匹、イエシロアリでは数十万~100万匹にもなると言われています。
実際に木材を食害し、餌を採集するのは働きアリのみであり、働きアリが他の個体へ口移しで餌を分配しています。
「蚊取り線香」でシロアリや羽アリを駆除するのは難しい
前節で紹介したシロアリの生態を踏まえると、「蚊取り線香」でシロアリや羽アリを駆除することは難しいと言わざるを得ません。
蚊取り線香で一時的に部分的な影響を与えることはあっても、巣全体を根絶させるような効果は期待できません。その理由は次のとおりです。
理由①:地下や木材の中に潜むシロアリまで有効成分が届かない
シロアリは光や外気を避けるため、床下や壁の内部、地中深くに巣を作ります。
しかし、蚊取り線香の煙は空気中を漂うだけであり、地中や木材内部まで浸透することはありません。仮に煙がわずかな隙間から入り込んだとしても、巣全体には届きません。


また、シロアリは大規模な集団で生活しているため、一部の個体を駆除できたとしても巣本体が無事であればすぐに数が増え、被害は続いてしまいます。
理由②:有効成分の濃度がシロアリ駆除には不十分
蚊取り線香は、蚊のような小型の飛翔害虫に効果が出るよう、有効成分の濃度が調整されています。逆に言えば、大型の虫や頑丈な外皮を持つ虫を駆除するほどの高濃度ではありません。
特にシロアリは、木材の内部や土中に隠れているため、外部の煙と接触する機会が限られています。仮に煙を大量に浴びたとしても、巣から出てこないシロアリに対しては、ほとんど脅威になりません。


また、巣から飛び出してきた羽アリの場合、蚊取り線香の煙に触れて一時的に弱ったり逃げ出したりすることはあるかもしれません。
しかしそれはあくまでも目に見える範囲での効果に過ぎず、シロアリの根本的な駆除にはつながりません。


「蚊取り線香」は、蚊などの飛翔する小さい昆虫をターゲットにしたもので、シロアリや羽アリを駆除することは難しいです。



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市販の殺虫剤でシロアリや羽アリの駆除は可能?
「蚊取り線香以外の市販の殺虫剤をシロアリに使った場合はどうだろう?」と気になる方もいるでしょう。
ホームセンターやネット通販では、多種多様な殺虫剤が販売されています。中には「シロアリ用」と表示された製品もあります。


ただし、結論から申し上げると、市販の殺虫剤も蚊取り線香と同様に、シロアリへの効果は限定的であり、巣全体を完全に根絶するのは難しいのが現実です。
殺虫剤①:スプレータイプ
床下の木材や、シロアリが通る蟻道(ぎどう)などに、スプレーを直接吹きかけて使用するタイプです。


目視できる範囲で明らかにシロアリの食害がある場合には、ある程度の効果が得られる可能性があります。
しかし、目に見えない部分や建物の奥深くまで薬剤を浸透させることは難しく、巣全体を根絶するには効果が不十分であることが多いです。
殺虫剤②:ベイト剤(毒エサ)タイプ
ベイト剤とは、シロアリが好むエサに毒成分を混ぜ、働きアリがそれを巣に持ち帰ることで巣ごと一網打尽にする手法です。


プロのシロアリ駆除業者も採用している方法ですが、設置場所の選定、定期的な点検、毒エサの補充などには専門的な知識が必要です。
市販品をただ設置するだけでは、十分な効果を得られないケースも少なくありません。
殺虫剤③:バルサン
バルサンは、ゴキブリやダニ、ノミなど室内に潜む害虫を、有効成分を含んだ煙(燻煙:くんえん)で駆除する殺虫剤です。


一般的な害虫には高い効果を発揮しますが、蚊取り線香と同様に、煙はシロアリが潜んでいる土中や木材内部には届きません。そのため、部分的な効果はあっても、シロアリの巣全体を根絶させることは困難です。
バルサンについては、次の記事で詳しく解説しています。
シロアリは、目に見える数よりもはるかに大規模なコロニー(巣の集団)を形成していることが多いため、一部を駆除しただけで「もう安心」と考えるのは危険です。
ご自身での対策は、一時的に被害を抑えるための「応急処置」と捉え、最終的にはプロの業者へ相談することを検討しましょう。
シロアリ・羽アリ駆除は専門の駆除業者に依頼することが重要
では、蚊取り線香や、その他の市販の殺虫剤が効果的でないなら、シロアリ駆除はどのように行えばよいのでしょうか?
プロとして強くお勧めするのは、専門のシロアリ駆除業者に依頼し、適切な防蟻施工を実施してもらうことです。
ここでは、専門業者への依頼を推奨する主な理由を3つご紹介します。
理由①:シロアリ専用の薬剤を使用できる
蚊取り線香などの市販の殺虫剤の多くは、主に蚊(ヤブカ)やゴキブリ、ダニ、ノミなど特定の害虫を対象に配合されており、シロアリ向けの製品ではありません。
一方、専門のシロアリ駆除業者は、シロアリ専用の薬剤を使用して巣の奥深くに潜む女王シロアリや働きアリを確実に駆除します。


また、建物の構造や被害状況に応じて、薬剤の種類や濃度、施工方法を適切に調整し、効果的にシロアリを根絶します。
理由②:シロアリの生態に基づいた施工で完全根絶を行う
シロアリの巣の場所や活動経路、繁殖サイクルなどの生態は非常に複雑です。
それでも、シロアリ駆除を成功させるためには、巣の位置や被害の範囲などを正確に把握したうえで、最も効果的な方法を選択する必要があります。
プロの業者は、事前調査により床下や壁内部の被害状況を徹底的に確認し、巣の位置や被害範囲を正確に特定したうえで最適な施工を行います。


場合によっては、床下の木材や土間、柱、壁などに穴を開けて薬剤を直接注入するなど、確実にシロアリの活動を止める対策を取ります。
このように専門的かつ的確な施工が求められることが、シロアリ駆除の難しさです。逆に言えば、プロだからこそ可能な対応なのです。
理由③:定期的な点検でシロアリの再発を防ぐ
一度シロアリを駆除しても、周囲の環境によって再発する可能性があります。
特に、シロアリの被害を受けた建物は木材が傷んでいる可能性が高く、再侵入に対して脆弱な状態であることも少なくありません。
そのため、定期的に専門家による点検を受け、シロアリの再発があれば早期に対策を講じることが重要です。


多くの専門業者は定期的な点検サービスを提供しており、施工後の一定期間内にシロアリが再発した場合、追加の駆除や処置を行ってくれる保証制度を設けている場合もあります。
こうしたアフターサービスや定期的な点検を活用することで、長期間にわたり建物をシロアリ被害から守ることが可能になります。
以上の通り、シロアリを根絶するには専門的な薬剤や知識、施工技術が必要なことが分かります。
専門業者に依頼することで、シロアリを効果的に駆除できるだけでなく、建物を長期間にわたり安全に保つためにも大きなメリットがあります。定期的な点検やアフターサービスを活用し、再発を防ぐことも重要です。
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【保有資格】
・日本しろあり対策協会「しろあり防除施工士」
・日本健康住宅協会「健康住宅アドバイザー」
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