一口に「シロアリ」と言っても、様々な種類が存在していることをご存知でしょうか?
日本では現在までに合計24種類のシロアリが発見されており、それぞれ外見や羽アリとなる時期が微妙に異なります。
とはいえ日本の住宅に被害を与えるシロアリの種類は限られており、「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」による被害がほぼ全てを占めます。
この記事では、全24種類のシロアリの一覧を紹介するとともに、日本の住宅に被害を及ぼす主要な3種の違いや見分け方についても解説していきます。
自宅で発生したシロアリ(羽アリ)がどんな種類なのか知りたいという方はぜひ参考にして下さい。
アリプロはシロアリ駆除の専門資格である「しろあり防除施工士」の有資格者が必ず対応しますので、確かな調査・工事ををお約束いたします。調査・お見積もりは無料ですのでお気軽にお問い合わせ下さい。
・ 日本しろあり対策協会に加盟
・ しろあり防除施工士が必ず対応
・ 無料の床下調査、工事後5年間の毎年点検
CONTENT
日本国内に生息する全24種類のシロアリ一覧
次の表がこれまでに日本で確認された全4科、24種類のシロアリの一覧です。
科名 | 種類 | 生息地域 |
---|---|---|
ミゾガシラシロアリ科 | ヤマトシロアリ | 日本全土(北海道北部を除く) |
カンモンシロアリ | 山口県、福岡県 | |
アマミシロアリ | 奄美大島、与論島 | |
ミヤタケシロアリ | 奄美大島、徳之島、沖縄本島 | |
オキナワシロアリ | 沖縄本島と周辺の島 | |
ヤマヤエシロアリ | 石垣島、西表島 | |
キアシシロアリ | 石垣島、西表島、与那国島 | |
イエシロアリ | 千葉県以西の温暖な地域 (九州、四国、琉球列島など) | |
ゲストロイシロアリ | 小笠原村南鳥島 | |
レイビシロアリ科 | スギオシロアリ | 八重山群島、沖縄本島南部 |
ダイコクシロアリ | 奄美大島以南、小笠原諸島 | |
ニシインドカンザイシロアリ | 東京、神奈川の一部地域 | |
アメリカカンザイシロアリ | 宮城県を北限とし本州、四国、九州、沖縄の一部地域 | |
ハワイシロアリ | 硫黄島 | |
シュワルツカンザイシロアリ | 南大東島 | |
サツマシロアリ | 高知、宮崎、鹿児島 | |
カタンシロアリ | 三重、和歌山、高知、九州、琉球列島 | |
ナカジマシロアリ | 本州紀伊半島、四国、九州、奄美群島、小笠原諸島、福井県蒼島 | |
ダイオウシロアリ科 | オオシロアリ | 四国、九州、南西諸島 |
ネバダオオシロアリ | 兵庫県川西市の山林の一部地域 | |
シロアリ科 | タイワンシロアリ | 沖縄本島以南 |
タカサゴシロアリ | 八重山諸島 | |
ニトベシロアリ | 八重山諸島 | |
ムシャシロアリ | 石垣島、西表島 |
このように多数の種類のシロアリが確認されていますが、温暖な環境を好むシロアリは日本の中でも離島だけに生息している種類も多く、その全てを直接観察する事は私たちシロアリ駆除業者でも困難です。
また、建築物に被害を与えない種類も存在するため、その全てが人間の脅威になるわけではありません。
種類別のシロアリ被害発生率
続いて、シロアリによる人間の家屋の被害の状況を種類別に見てみましょう。
信頼のおける大規模な調査としては、2013年に実施された国土交通省補助事業である「シロアリ被害実態調査報告書」があります。この調査では、日本におけるシロアリ種類別の被害発生率が次のように報告されています。
この通り、日本で発生するシロアリ被害の9割以上が「ヤマトシロアリ」による被害となっており、次いで「イエシロアリ」、ごくわずかに「アメリカカンザイシロアリ」の被害である事が分かります。
つまり、自宅でシロアリ被害が発生した際には真っ先に「ヤマトシロアリ」の被害を疑うべきであり、お住まいの地域などによっては他種のシロアリの可能性があるということになります。
調査では3種類のシロアリ被害しか確認されませんでしたが、調査件数の母数を増やせば他種のシロアリ被害も数件混ざってくるものと思われます。
次節では、建築物に被害を与える代表的な3種である「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の特徴や被害の傾向について解説いたします。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは、ミゾガシラシロアリ科に属し、北海道の北部を除く日本全土に生息するシロアリです。その生息範囲の広さから日本での被害件数の割合が最も多く、一般的に"シロアリ"と言った場合、このヤマトシロアリを指している可能性が高いです。
この後で紹介する他種のシロアリと比べると被害の進行スピードは遅いものの、被害を長期間放置されていると住宅の耐震性などに影響を及ぼします。
被害の特徴
ヤマトシロアリは他種のシロアリと比べて水を運ぶ能力が低く、住宅では床下や浴室など、水場に近い場所に被害が発生します。しかし住宅で雨漏りや水漏れなどが発生していると、住宅の2階にも被害が及ぶケースも存在します。
木材へと侵入する際は「蟻道」というトンネルのようなものを構築するため、床下や住宅の基礎などに蟻道があればヤマトシロアリによる被害が疑われます。
羽アリの特徴と発生時期
ヤマトシロアリは4月~5月の日中に羽アリとなって飛び立つ習性があります。この時期に室内やお庭で大量の羽アリが発生するようならヤマトシロアリの被害が疑われます。
羽アリの特徴は体・羽ともに黒色で、首と胴体の間に黄色の線が入っています。
一見するとクロアリの羽アリと誤解されがちですが、クロアリの羽アリが発生するのは真夏の時期であるため羽アリの発生時期で見分ける事が可能です。
ヤマトシロアリの特徴や被害についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧下さい。
・ 日本しろあり対策協会に加盟
・ しろあり防除施工士が必ず対応
・ 無料の床下調査、工事後5年間の毎年点検
イエシロアリ
イエシロアリは、ヤマトシロアリと同じくミゾガシラシロアリ科に属するシロアリです。茨城県結城市を北限とし、主に千葉県から西側の海岸沿いや九州地方などに多く生息しています。
温暖な気候を好むため関東の平野部や東北では確認されていませんが、温暖化の影響で生息エリアが拡大が懸念されています。
繁殖力が高く、被害の進行スピードも早いことから世界で最も恐れられているシロアリの一種です。大型の巣では1つの巣の中に100万匹以上が生息している事もあります。
被害の特徴
ヤマトシロアリと比べ、イエシロアリは水を運ぶ能力に優れており、床下から侵入して自分たちで水を運びながら住宅の2階や屋根裏などにも被害を及ぼします。
ヤマトシロアリ同様に蟻道を構築しますが、ヤマトシロアリの蟻道と比べると1本1本が太くなっており、写真のような太い蟻道が床下などで見つかればイエシロアリの可能性が高くなります。
羽アリの特徴と発生時期
イエシロアリの羽アリは6月~7月の夕方に一斉に飛び立ちます。光に集まる習性があるため、屋外で発生した場合は電灯や街灯に集まる姿がよく見られます。
羽アリの特徴としては全体的に体が茶褐色で、羽は薄い茶色をしています。ヤマトシロアリの羽アリと比べても注視すれば見分ける事が可能です。
イエシロアリの特徴や被害についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧下さい。
アメリカカンザイシロアリ
最後に紹介するのは外来種で、レイビシロアリ科に属するアメリカカンザイシロアリです。
宮城県を北限とし、本柱、九州、四国、沖縄など20以上の都道府県にて被害が確認されています。特定の地域で数十件程度の住宅だけが被害に遭うなど、局所的な生息範囲となっています。
被害がどこまで進行しているか確認しづらく、完全な駆除も難しいため、対応不可としているシロアリ駆除業者も珍しくありません。
被害の特徴
他種のシロアリはある程度湿った木材を好むのに対して、アメリカカンザイシロアリは、カンザイ(乾材)という名前の通り、乾いた木材でも関係なく食べ進めます。そのため住宅の2階や屋根裏などでの被害も非常に多くなります。
また住宅に侵入する際は蟻道を作らないため、被害の発見が遅れるケースが多いです。
木材に被害を及ぼしてある程度の期間が過ぎると、木材の中に溜めきれなくなった自分たちのフンを外部に排出するため、こうしたフンが発見の手がかりとなります。
羽アリの特徴と発生時期
アメリカカンザイシロアリの羽アリは7月~10月の日中に発生する事が多いですが、温暖な地域では3月~5月など1年中に渡り発生する可能性があります。
羽アリの羽が黒色のため一見するとヤマトシロアリと勘違いされやすいですが、体が赤褐色のため注視すれば見分ける事が可能です。
アメリカカンザイシロアリの特徴や被害についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧下さい。
シロアリの主要3種類の見分け方
ここまでに紹介した「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の3種が日本で住宅に被害を及ぼす代表的なシロアリです。
もしも自宅でシロアリ被害や羽アリを発生したら、次のような点に注目すると見分ける事が可能です。
見分け方① 羽アリの外見
春から夏にかけて発生するシロアリの羽アリは、その種類によって外見が微妙に異なります。
最も被害の多いヤマトシロアリは体も羽も黒く、頭と胴体に黄色い線があります。
次いで被害の多いイエシロアリは体が茶褐色で、羽はさらに薄い茶色になります。
アメリカカンザイシロアリの羽アリは体が赤褐色となっており羽は黒色、羽の角度によっては虹色などに見える事もあります。
このように発生した羽アリの外見に注目すると、種類を見分ける事が可能です。また羽アリが発生した場合の対処法については以下の記事も参考にして下さい。
見分け方② 羽アリの発生時期
羽アリの外見に加え、羽アリが発生する時期や時間帯にもシロアリの種類によって差があります。
ヤマトシロアリは4月の終わりから5月にかけて羽アリとなり、午前10時~12時前後に一斉に飛び立ちます。イエシロアリの場合は6月から7月の夕方に羽アリとなって飛び立ちます。
アメリカカンザイシロアリは関東エリアでは7月から10月に羽アリとなりますが、温暖な地域では4月~5月などにも羽アリとなる事が確認されており、決まって日中に飛び立ちます。
私たちシロアリ駆除業者も、まずはお客様に「いつ羽アリが発生したか?」によってシロアリの種類を大別していますので参考にして下さい。
見分け方③ 兵蟻の特徴
ヤマトシロアリとイエシロアリに関しては、巣の中の3%前後を占める兵蟻(兵隊アリ)の特徴でも見分ける事が可能です。
ヤマトシロアリの兵蟻は頭部が楕円系となっており、イエシロアリの兵蟻は頭部が卵型をしています。
もしも被害部などでシロアリを発見し兵蟻が混ざっていれば、こうした特徴で見分ける事が可能です。
見分け方④ 被害の特徴
アメリカカンザイシロアリの被害には分かりやすい特徴があり、被害箇所となっている木材のすぐそばに砂粒状の盛り塩のような痕跡が発生します。
住宅内でこのような痕跡(フン)が確認されればアメリカカンザイシロアリの可能性が非常に高くなります。
ヤマトシロアリとイエシロアリの被害は見分ける事が困難ですが、雨漏りや水漏れ等が発生していないにも関わらず住宅の2階に被害が出ていればイエシロアリの可能性が高くなります。
上述したように、ヤマトシロアリは水を運ぶ能力が低いため、床下や1階部分だけに起きている事が多いです。
・ 日本しろあり対策協会に加盟
・ しろあり防除施工士が必ず対応
・ 無料の床下調査、工事後5年間の毎年点検
その他の21種類の珍しいシロアリの特徴と生息地域
ここからは、私たちシロアリ駆除業者でもあまり見かける事のない珍しい種類のシロアリについて、特徴と生息地域を紹介していきます。
ミゾガシラシロアリ科
カンモンシロアリ
関門海峡を挟む福岡県と山口県に分布している。羽アリの発生時期が2月下旬から4月とかなり早い時期であるため、他種のシロアリと区別する事ができる。
アマミシロアリ
奄美大島と与論島で確認されている。顕微鏡などで確認すると兵蟻(兵隊アリ)の上唇の先端の毛が4本である事が特徴とされる。
ミヤタケシロアリ
奄美大島、徳之島、沖縄本島で確認されている。羽アリの前胸が褐色である事が特徴とされる。
オキナワシロアリ
沖縄本島と周辺に島で確認されている。兵蟻(兵隊アリ)の前胸背板の剛毛数15本以上ある事が特徴とされる。
ヤマヤエシロアリ
石垣島、西表島で確認されている。兵蟻(兵隊アリ)の頭部がかなり淡色で、前方に向けて狭まらない事が特徴とされる。
キアシシロアリ
石垣島、西表島、与那国島にて確認されている。上述したヤマヤエシロアリと同所に分布しているが、兵蟻(兵隊アリ)の上唇の先端の毛が4本である事で見分ける事ができる。
ゲストロイシロアリ
小笠原村南鳥島にて局所的に確認されている。イエシロアリと似ているが、兵蟻(兵隊アリ)頭部の額腺開口部にある剛毛が片側1本である事で区別できる。
レイビシロアリ科
スギオシロアリ
八重山諸島、沖縄本島南部に生息する。羽アリが少数ずつ春から秋までの長期間にわたって群飛し、日没後灯火に集まる。
ダイコクシロアリ
奄美大島以南と小笠原諸島で確認されている。世界の熱帯各地で最も恐れられているシロアリ種で乾燥に極めて強い。兵蟻(兵隊アリ)の頭部は堅固で前面が裁断状になっている。ピアノや家具などの木製品の中にも生息する事ができる。
ニシインドカンザイシロアリ
東京、神奈川の一部地域で発見されている。アメリカカンザイシロアリ同様に輸入家具などに入って定着したものと思われる。国内での拡大が懸念されている一種。
ハワイシロアリ
小笠原村の硫黄島で発見された。アメリカカンザイシロアリと同様の砂粒上のフンが食害部に見られるが、建築物への加害はほとんどない。
シュワルツカンザイシロアリ
南大東島にて発見された。兵蟻(兵隊アリ)の触角第3節が他の節より長大で太い事が特徴。建築物への加害はほとんどない。
サツマシロアリ
高知、宮崎、鹿児島などで確認されている。兵蟻(兵隊アリ)の頭部は光沢のある褐色で、先端は黒色に近い濃色になる。
カタンシロアリ
三重、和歌山、高知、九州、琉球列島で確認されている。サツマシロアリより小型であり、兵蟻(兵隊アリ)頭長が短いことで区別できる。
ナカジマシロアリ
本州紀伊半島、四国、九州、奄美群島、小笠原諸島、福井県蒼島で確認される。カタンシロアリやサツマシロアリと生態は似ており、建築物への加害は無い。
ダイオウシロアリ科
オオシロアリ
四国、九州、南西諸島に生息している。非常に大きなシロアリで、腐朽した枯木や切り株などに生息している。建築物への被害はほとんどない。
ネバダオオシロアリ
アメリカ太平洋沿岸が原産地で、日本では兵庫県川西市の山林の一部地域のみに定着している。オオシロアリ同様に大型種である。
シロアリ科
タイワンシロアリ
沖縄本島以南で確認されている。職蟻(働きアリ)の頭部が赤褐色をしており他種のシロアリと区別する事ができる。
タカサゴシロアリ
八重山諸島で生息が確認される。兵蟻(兵隊アリ)が象鼻型であることから容易に区別する事ができる。
ニトベシロアリ
八重山群島にて生息が確認される。兵蟻は非対称の大あごを使って外敵を弾き飛ばす習性がある。
ムシャシロアリ
日本では石垣島や西表島で生息が確認される。兵蟻(兵隊アリ)の大顎は左右がやや非対称で前方に伸び、先端で小さく曲がっている。木材は加害しない。
さいごに
ここまでに日本に生息する全24種のシロアリを紹介させていただきました。
なお、私たちアリプロで観測していないシロアリの情報については、日本しろあり対策協会が発行する「シロアリ及び腐朽防除施工の基礎知識」を参考文献とし紹介させて頂いています。
シロアリの種類は世界中で約3,000種が生息していると言われています。地球温暖化の影響でシロアリの分布図も変わってきており、今後新たな種類のシロアリが日本に住み着く可能性も高いです。こうした情報があれば、随時こちらの記事で追記をおこなっていきます。
またシロアリと勘違いされやすい「シロアリと似た虫」については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にして下さい。
シロアリ駆除はアリプロへ
アリプロは、創業35年以上を超えるシロアリ駆除会社です。東京・千葉・埼玉・茨城に密着し、施工実績4.7万件を突破しています。
日本しろあり対策協会に加盟しており、調査・工事を行うスタッフは全員「しろあり防除施工士」の資格を保有しています。床下調査の際は、床下の状況をデジカメで撮影しお客様にお伝えします。
その他にも工事後の定期点検(5年間)や1,000万円の修復保証などのアフターサービスも万全で、独自の水害保証も完備しております。
電話は平日および土曜日の8:30~17:30、メールは365日24時間受け付けております。ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。
無料点検の申し込み問い合わせはこちらから
【保有資格】
・日本しろあり対策協会「しろあり防除施工士」
・日本健康住宅協会「健康住宅アドバイザー」