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【画像あり】アメリカカンザイシロアリの特徴や被害の兆候を専門家が解説。脅威と言われる理由は?

最終更新日:

日本において住宅に被害を及ぼすシロアリは「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」の2種が大半ですが、一部地域では「アメリカカンザイシロアリ」という外来種のシロアリ被害が報告されています。

この「アメリカカンザイシロアリ」は、被害発生率は他種のシロアリと比べとても低いですが、被害が発生してしまったら完全な駆除が困難で、とても厄介なシロアリです。

この記事では、そんなアメリカカンザイシロアリの特徴や被害、駆除方法などについて、シロアリ駆除業者アリプロの専門家が実際の被害写真を掲載しながら詳しく解説していきます。

 

アリプロは東京23区、千葉県、埼玉県南部、茨城県南部に対応しています。しろあり防除施工士の有資格者が必ず対応しますので、お気軽にお問い合わせ下さい。アメリカカンザイシロアリのお問い合わせにも対応しています。

東京(23区)千葉埼玉茨城に対応
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アメリカカンザイシロアリによる被害の状況

アメリカカンザイシロアリとフン
アメリカカンザイシロアリ

日本に生息するシロアリは20種類以上いるとされており、その中でも住宅に被害を及ぼすシロアリは「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の3種類が主になります。

シロアリの種類別に被害発生率を調べると、そのほとんどが「ヤマトシロアリ」によるもので、アメリカカンザイシロアリの被害は1%以下と、とても珍しい事が分かります。

シロアリ種類別の被害発生率
出所:日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合「シロアリ被害実態調査報告書」

しかし、アメリカカンザイシロアリは、被害数は少ないものの、被害に遭われた方々だけでなく、私たちシロアリ駆除業者にとっても最も厄介なシロアリです。

アメリカカンザイシロアリの駆除にはヤマトシロアリやイエシロアリとは異なる専門知識や施工技術が求められるため、対応不可としているシロアリ駆除業者も珍しくありません。

続いて、アメリカカンザイシロアリの生態や特徴について解説していきます。

 

アメリカカンザイシロアリの生態

分布

アメリカカンザイシロアリが日本で初めて発見されたのは、1970年代の東京都江戸川区です。

「アメリカ」という名前の通り外来種のシロアリで、原産地はアメリカのワシントン州からメキシコのカリフォルニア半島にかけての太平洋沿岸地域です。

日本に移入したのは、輸入家具の木材にアメリカカンザイシロアリが潜んでおり、一緒に運ばれてきたためと考えられています。

日本でのアメリカカンザイシロアリによる被害は、宮城県仙台市を北限として、本州から沖縄本島まで20以上の都道府県で確認されています。

アメリカカンザイシロアリの生息地域
出所:日本しろあり対策協会

1軒の住宅でアメリカカンザイシロアリの被害が見つかると、その近隣の数十軒も同様にアメリカカンザイシロアリの被害に遭っているといったように、超局所的な被害が多い傾向が見られます。

現在は宮城県仙台市より北部の寒冷地では発見されていませんが、地球の温暖化や住宅の高気密化に伴い、今後は寒冷地でも被害が発見される可能性が高いと考えられています。

アリプロが対応する関東エリアでは、東京都江戸川区や中野区にて多数の被害報告が確認されています。

 

体長

アメリカカンザイシロアリの体調
アメリカカンザイシロアリの職蟻

アメリカカンザイシロアリは他種のシロアリと比べて体長が大きい事が特徴です。

巣の中に最も多く生息する職蟻(働きアリ)で比べると、ヤマトシロアリの職蟻は体長4ミリ~6ミリ程度であるのに対して、アメリカカンザイシロアリの職蟻は10ミリ前後とおよそ倍の大きさとなります。

体格もヤマトシロアリと比べると全体的にふっくらとしており、集団を発見すると1匹1匹に強い存在感があります。

 

屋根裏のアメリカカンザイシロアリの被害

シロアリと聞くと土の中などに巣を作りそうですが、それはヤマトシロアリやイエシロアリなど、被害数の多い一般的なシロアリの場合です。

アメリカカンザイシロアリは、地中ではなく、現在食べている木材の中に巣を作ります。

木材は、一定の水分を含んだ湿気を持つ木材を好むヤマトシロアリとは異なり、乾燥した木材の中に営巣する習性があります。カンザイ(乾材=乾燥した木材)に生息するシロアリのため「カンザイシロアリ」と名付けられている通りです。

また、他種のシロアリなら1つの巣の中に数千~数万匹のシロアリが生息しますが、アメリカカンザイシロアリの場合は1つの巣の中に数百匹程度しか生息していません。

そのかわり、アメリカカンザイシロアリの被害を発見した場合、既にその住宅の中には巣が1つだけでなく、複数作れられている事が多いです。これが完全駆除を難しくしている理由の一つです。

 

アメリカカンザイシロアリの羽アリ

シロアリは特定の時期に羽アリとなって飛び立つ「群飛(ぐんぴ)」をする事で有名ですが、アメリカカンザイシロアリも例外ではありません。

アメリカカンザイシロアリの羽アリが群飛する時期は、7月~10月を中心にして一年中、不定期に見られます。温暖な地域では3月~6月に頻出します。

シロアリの羽アリの種類別の発生時期

群飛の時間帯は、ヤマトシロアリなら午前中、イエシロアリなら夕方ですが、アメリカカンザイシロアリは日中がほとんどです。

また、ヤマトシロアリの羽アリは黒色の体をしているのに対し、アメリカカンザイシロアリの羽アリは褐色の体をしており、注視すれば見分ける事が可能です。

シロアリの羽アリの種類別の特徴
シロアリの羽アリの種類別の特徴
シロアリ主要3種の羽アリの比較

 

羽アリを発見した場合の対処法については以下の記事で詳しく解説しています。

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アメリカカンザイシロアリの被害の特徴

アメリカカンザイシロアリによる被害の最大の特徴は、被害場所の近辺に砂粒状の盛り塩のような痕跡が残される点です。

アメリカカンザイシロアリの痕跡
屋根裏で発見されたアメリカカンザイシロアリの痕跡

アメリカカンザイシロアリの痕跡
室内で発見されたアメリカカンザイシロアリの痕跡

アメリカカンザイシロアリの痕跡
床下で発見されたアメリカカンザイシロアリの痕跡

 

この砂粒の正体はアメリカカンザイシロアリのフンです。フンといっても臭いなどは一切なく、ウイルスや感染症などの二次災害もありません。

フンは直径0.5mm~1mm程度で非常に固く、食べ進めている木材そのままの色で排出されるため、ベージュや黒褐色のまばらな色をしています。

フンを拡大すると、すべてが均等に六角形の俵型をしていることがわかります。

住宅内にこのようなフンの痕跡があれば、アメリカカンザイシロアリの被害が強く疑われます。

アメリカカンザイシロアリのフン
アメリカカンザイシロアリのフン

アメリカカンザイシロアリのフン
アメリカカンザイシロアリのフン(拡大)

アメリカカンザイシロアリのフンがこのような特徴的な形をしているのは、水分の少ない環境に生息するアメリカカンザイシロアリの生態に要因があります。フンを通じて体内から水分を排出してしまわないように、直腸で水分を徹底的に吸収するため、直腸の内壁の形そのままのフンを出すのです。

また、巣の中がフンで一杯になると「糞孔(ふんこう)」と呼ばれる穴を開けてフンを排出します。

アメリカカンザイシロアリの糞孔
アメリカカンザイシロアリの糞孔(ふんこう)

排出されたフンは盛り塩のようになるため、アメリカカンザイシロアリが潜んでいる重要な手掛かりとなります。

もし自宅でこうした痕跡を発見したら、直ちにシロアリ駆除業者に相談しましょう。また、痕跡は清掃などせず、そのままの状態で調査してもらう事をオススメします。

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なぜアメリカカンザイシロアリは脅威なのか?

水分を含まない、乾燥した木材も食害する

アメリカカンザイシロアリの被害
アメリカカンザイシロアリの被害を受けた木材

ヤマトシロアリなどの一般的なシロアリは、水分を含んだ木材のみを食害します。そのため、シロアリ被害は「床下」や「浴室」などを中心に、住宅の床下や1階部分で発生します。

そのため、被害が1階にとどまらず、住宅の2階や屋根裏など家屋全体に広まるケースが多いです。

 

住宅内への侵入を発見しにくい

アメリカカンザイシロアリの被害部
アメリカカンザイシロアリの被害部

通常のシロアリが住宅に侵入する際は、光や風に当たらないように「蟻道(ぎどう)」と呼ばれるトンネルのようなものを構築します。

床下や住宅内部に蟻道が作られていれば、シロアリ侵入の大きな手掛かりとなります。

他種のシロアリの蟻道
他種のシロアリの被害部

しかしアメリカカンザイシロアリはこうした蟻道を作りません。そのため、自宅にアメリカカンザイシロアリが侵入したとしても、早期に発見する事は非常に困難となります。

 

被害場所の特定が難しい

また、シロアリが作る蟻道は「どこまでシロアリ被害が発生しているか?」を探す手掛かりにもなります。

しかし、アメリカカンザイシロアリのように蟻道が作られないと、住宅のどこまで被害が及んでいるのかを確認するのが困難となります。

私たちシロアリ駆除業者の専門家でも、限られた痕跡や情報をもとに、おおまかにしか被害場所を推測できないことがあります。

 

羽アリが飛来し、そのまま住宅内に住み着く

アメリカカンザイシロアリの羽アリ
アメリカカンザイシロアリの羽アリ

通常のシロアリの羽アリは必ず土の中に潜ってから巣を作ります。もし近隣の住宅で羽アリが発生し住宅内部に侵入したとしても、巣を作る事ができずに死滅してしまいます。

しかしアメリカカンザイシロアリは、上述したように「木材の中に巣を作る」習性があります。そのため、住宅内部に羽アリが飛来したらそのまま住宅内で使われている木材の内部に巣を作り、繁殖する可能性があります。

住宅の内部にまで入り込まなくても、窓枠やベランダなどに着地した羽アリが、そこで発見した木材の内部に入り込み巣を作ってしまう事もあります。

このように、アメリカカンザイシロアリは、1件の住宅で被害が起きていると高確率で近隣の住宅にも羽アリが侵入し、被害を拡げていきます。こうした習性が局所的な被害エリアを生む背景です。

 

一般的な床下消毒で被害を防げない

一般的なシロアリ消毒では住宅の床下に薬剤を散布していきます。ヤマトシロアリをはじめとする、土の中に巣を作ってそこから住宅へ侵入しようとする通常のシロアリに対しては、非常に高い効果を発揮します。

しかし、アメリカカンザイシロアリは羽アリが直接住宅内や2階に侵入するため、床下にシロアリ消毒を実施しても効果を発揮しません。シロアリ消毒を定期的に行っている住宅でも、アメリカカンザイシロアリの被害は防ぐ事ができないわけです。

そのため、通常ならシロアリ消毒を実施すると通常5年間の保証が付きますが、大抵の保証書には「アメリカカンザイシロアリの被害は保証対象外とする」といった文言が記載されています。

 

アメリカカンザイシロアリの駆除方法

以上のように、とても厄介な特徴を持つアメリカカンザイシロアリですが、駆除するにはどうしたらよいのでしょうか?

実は、日本ではまだアメリカカンザイシロアリの完璧な駆除方法は確立されていません。

一定の効果が認められている駆除方法としては、大きく分けて「燻蒸処理(くんじょうしょり)」と「薬剤処理」の2つの方法があります。

 

駆除方法① 燻蒸処理(くんじょうしょり)

家屋全体を養生した様子

燻蒸処理(くんじょうしょり)とは、家屋全体を養生などで囲い、シロアリにとって毒となるガスを噴霧する方法です。

アメリカカンザイシロアリが多く生息するアメリカでは一般的な手法であり、日本でも重要文化財に発生した害虫の駆除に用いられています。

しかし、費用が高額になることや、近隣住民への配慮が必要なことから、日本では限定的な状況でしか採用できない駆除方法です。

なお、燻蒸処理で用いるガスはその後に人が住むことを考えてすぐに効力が無くなるものを使用します。そのため、燻蒸処理をした後も、アメリカカンザイシロアリの羽アリが再度住宅に飛来すると被害が再発するリスクがあります。

 

駆除方法② 薬剤処理

アメリカカンザイシロアリの駆除の様子
木材の薬剤処理

薬剤処理とは、通常のシロアリ駆除と同様に、被害の出た木材に専門の薬剤を散布・注入することでアメリカカンザイシロアリの駆除を行う方法です。水で希釈する薬剤や、ムース上の薬剤などいくつかの種類があります。

日本におけるアメリカカンザイシロアリの駆除では薬剤処理が採用されることが圧倒的に多いですが、被害を見落として未処理のまま終わった部分があると、完全な駆除に至らないというデメリットも存在します。

そのため、シロアリ駆除の実施後に期間を空けて家屋全体の定期点検を行い、アメリカカンザイシロアリの再発が無いか確認する「維持管理型」の施工が推奨されています。

 

「ホウ酸」の利用について

なお、一部の業者は昆虫に対して毒性を持つ「ホウ酸」を利用したアメリカカンザイシロアリの駆除も実施しています。

ただし、日本しろあり対策協会はホウ酸を主成分としたシロアリ駆除剤は認定していません。

ホウ酸には有効期間が長いメリットもありますが、その反面、成分が分解されにくく環境に悪影響が出る懸念があるためです。(日本しろあり対策協会における見解はこちらです。)

 

アメリカカンザイシロアリの駆除には以上のような方法がありますが、それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、信頼できる業者に駆除を依頼するようにしましょう。

私たちアリプロでは薬剤処理のみの対応となります。(燻蒸処理、ホウ酸の使用は非対応)

 

シロアリ駆除はアリプロへ

アリプロは、創業35年以上を超えるシロアリ駆除会社です。東京・千葉・埼玉・茨城に密着し、施工実績4.7万件を突破しています。

日本しろあり対策協会に加盟しており、調査・工事を行うスタッフは全員「しろあり防除施工士」の資格を保有しています。床下調査の際は、床下の状況をデジカメで撮影しお客様にお伝えします。

その他にも工事後の定期点検(5年間)1,000万円の修復保証などのアフターサービスも万全で、独自の水害保証も完備しております。

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執筆・監修者

林 翔平

2012年株式会社セスコに入社。シロアリ駆除業務に従事し、延べ2,000件以上の床下調査を実施。アリプロのコラム記事全ての執筆および監修を担当。

【保有資格】
・日本しろあり対策協会「しろあり防除施工士」
・日本健康住宅協会「健康住宅アドバイザー」

 

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