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畳にシロアリが出るって本当!?覚えておきたい「畳のシロアリ被害」の基礎知識

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「畳のシロアリ被害」と聞くと、まったく縁の無い方から、実際に被害に遭った経験のある方まで、様々かと思います。

シロアリは木材を加害する害虫として知られていますが、実は、藁(わら)やイ草(いぐさ)でできた畳も、シロアリの被害に遭いやすいことが知られています。

また、畳は古臭いと思われ敬遠されがちでしたが、近年は素材やデザイン性が改善し、使い勝手も良くなったため、「和モダン」な居室のインテリアとして見直されてきました。

もっとも、いくら優れた素材を使っていても、木材や紙質の素材が使われていれば、シロアリ被害の危険がつきまといます。それを考えると、そもそも住宅に畳を使用するのは避けた方がよいのでしょうか?

シロアリの専門家としての結論を申し上げると、決して畳を使用すること自体に問題があるわけではありません。シロアリの侵入経路となる床下の点検や、畳の定期的なメンテナンスをきちんと行っていれば、シロアリ被害は十分に対策することができます。

この記事では、お住まいに畳のお部屋がある方や、畳のあるお住まいを検討している方に向けて、「畳とシロアリ」の関係や、シロアリ被害を防ぐ方法について解説します。

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畳と床下の作りはどのようになっているか【畳の基礎知識】

畳の構造

まずは畳の基礎知識として、畳の構造から解説してまいります。畳は次のように作られています。

畳の構造

畳の表面は畳表(たたみおもて)が張られており、その下には厚い畳床(たたみどこ)があります。畳表と畳床の端は畳縁(たたみべり)で締められ、畳が完成します。

こうして見ると、非常にシンプルな構造で出来上がっていることがわかるかと思います。

 

畳表(たたみおもて)

畳表(たたみおもて)は、畳の表面に敷かれ、私たちが普段目にしたり、接したりしている部材です。

この畳表が藁(わら)でできていると考えられがちですが、正しくは日本に自生しているイ草(いぐさ)という植物の茎です。

イ草は、熊本県八代市(やつしろし)が名産地として知られているほか、最近は中国からの輸入も増えています。

 

畳床(たたみどこ)

畳床(たたみどこ)は畳の土台となり畳表を支える部材で、古来から稲刈りした後の藁(わら)を重ね、圧縮することで作られてきました。藁床(わらどこ)と呼ばれることもあります。

近年は、使い勝手やコストの面から、藁(わら)だけではなく様々な素材が活用されています。

例えば、木の繊維と合成素材を混ぜて固めたインシュレーションボード(ファイバーボード)や、インシュレーションボードを重ね合わせたオールボード、発泡プラスチック系のポリスチレンを用いたポリスチレンフォーム(発泡スチロール)などがあります。

 

畳縁(たたみべり)

畳縁(たたみべり)とは、畳表の切り落とした部分がほつれたり、摩擦で劣化したりすることを防ぐために、畳の端に縫い付ける織物のことです。

昔は材料として綿糸や麻糸が使われましたが、現在は化学繊維製の畳縁が主流となっています。

化学繊維だと様々なや色が実現できるため、手芸の材料としても活用されています。

 

床下の構造

続いて、住宅の床下の構造について解説します。

畳の下部から地面までの床下は、次のような作りになっています。

床下の構造

1つ1つ解説すると次の通りです。

 

床板(とこいた)

床板(とこいた)は、部屋全体に薄く敷かれる木材で、畳が直接置かれます。床板は「ゆかいた」と読むこともあるものの、その場合はフローリングや床全体などを総称していることが多いです。

床板(とこいた)の素材は、薄い木材を重ね合わせた「合板」でできていることが多いです。「合板」は、習慣的に「ベニヤ板」と呼ばれることも多いですが、「ベニヤ」の本来の意味は薄くカットされた1枚の板のことであり、厳密には異なります。

なお、床下の構造として「下地材」や「荒床」という用語も存在します。「下地材」はフローリングなどの仕上げ材の下に使う建材という意味で、「荒板」は、杉材などを直接切り出した未加工の木材を指しています。どちらも床板とはやや異なる意味を持っています。

 

根太(ねだ)

床板の下には、根太(ねだ)と呼ばれる角材が何本も水平に走っています。通常、約30cmあるいは約45cmなどの間隔で平行に走らせ、床上を支えると同時に、大引を通じて下部構造に荷重を伝えます。

根太の厚さは30mmから60mm程度で、ヒノキやスギ、ヒバ、マツなどの木材が使われることが多いです。

床を支える重要な構造材の1つで、根太の取り付けに不備があると床鳴りがしたり、床がふかふかしたりする問題が起こります。

なお、最近の住宅では根太を用いない根太レス工法を取り入れるケースも出てきています。

 

大引(おおびき)

大引(おおびき)は、根太と直角に、約91cmの間隔で水平に置かれる太い角材です。根太を支え、床束を通じて基礎に荷重を伝える役割を持っています。

木造住宅では木材、鉄筋コンクリート(RC造)では金属製の素材が使われることが多いです。木材の場合、種類はヒノキやヒバ、スギ、マツで、幅が9cmから12cm程度の角材が使用されます。

大引きの寸法や組み方が誤っていると、床が沈んだり、傾いたりする問題が生じます。

床下の様子
床下の様子

 

床束(ゆかづか)と束石(つかいし)

床束(ゆかづか)は、大引とその上の構造を支える短い柱です。住居全体の荷重を土壌に伝える重要な役割を果たします。

床束は、短いとはいえ、垂直に置かれて一定の高さを持つため、床束によって床下の空間が作られることになります。元来は木製でしたが、近年は鋼製や樹脂製の床束も利用されています。

また、土壌に置かれ、床束を支えるのが束石(つかいし)です。”束石”という名前の通り、古くは石で作られることが多く、最近はコンクリートブロックが用いられることが増えています。

 

畳はシロアリ被害に合いやすい?

このように作られている畳は、シロアリの被害に合いやすいのでしょうか?

結論としては、「畳はシロアリ被害に合いやすい場所」だと言えます。

当サイトのアリプロはシロアリ駆除を長年手掛けてきましたが、畳は住宅の中でも最も被害が確認されやすい場所の1つです。

畳の素材であるイ草や藁は吸湿効果があり、一定の湿度を含みやすい特性を持っています。そのため、湿気を好むシロアリが加害しやすい傾向があります。

また、前述の構造をご覧頂くとわかる通り、畳は、シロアリの潜む土壌や床下から侵入しやすい場所にあります。畳の内部で異変が起こっていても、住人が気付くのは難しいものです。

以上のような理由で、畳はシロアリにとって恰好の餌となることが少なくありません。

なお、畳が被害を受けているということは、既にその下部にある木製の下地板や根太、床束なども既に被害を受けていることが多いです。

土壌から徐々にシロアリが侵入・加害をし、屋内に迫ってきている状態だと言えます。

 

シロアリの被害を受けた畳の特徴

実は、次のような畳の変化に気付けば、シロアリ被害の兆候を察知することができます。

 

表面がくぼんでいる

畳がシロアリの被害を受けると、表面がくぼんで見えることがあります。シロアリが床板や畳床を食害すると、畳を支える力が弱まって、内部が落ち込んだり、歪んだりすることがあるためです。

さらに下の構造材が大きく食害されていれば、床下全体が変形し、不安定になることもあります。

 

踏むとフカフカする

前述のように床板や畳床がシロアリの被害を受けていると、畳を踏んだときに、フカフカと柔らかく感じられることがあります。

シロアリの被害が大きいほど、内部の損傷が激しくなり、フカフカとした感触が一層強まることになります。

 

畳の屑や破片が落ちている

シロアリが畳の内部に侵入して食い荒らすと、畳床や畳表の一部が破れて、屑や細かい破片があたりに落ちることがあります。

これは、シロアリがまさに畳を食害している有力な証拠です。もしこのような事象を発見したら、早急な対策が必要となります。

 

畳でシロアリ被害が見つかったらどうする?

前節のようなシロアリ被害の兆候は、普段、意識せずに生活しているとなかなか発見しにくいものです。特に、カーペットや布団が常時敷かれていたり、箪笥などの家具が置かれていたりすると、なおさら視界に入りにくくなります。

そのため、「畳の部屋は常にシロアリが出る可能性がある」という前提に立ち、定期的に畳全体に目を配るようにすることをお勧めいたします。

もし、前節のようなシロアリ被害を疑う兆候が見られたら、早めに専門のシロアリ駆除業者へ相談することをお勧めします。

既にご説明した通り、畳にシロアリ被害が出ていたとすると、既に床下や床板など、家屋の広範囲に渡ってシロアリが侵入し、加害されているかもしれません。

シロアリの被害の進行は非常に早く、主要加害種のヤマトシロアリの場合、「1年で柱3本分を食べ尽くす」とも言われます。

畳にまでシロアリが侵入していれば、家屋の大規模な修繕が必要になる恐れもありますし、資産価値に大きく影響してしまう可能性もあります。早めに行動を起こすことが大切です。

 

畳のシロアリ被害を防ぐ方法

自分でできる畳のメンテナンス

もっとも、畳はシロアリに完全に無防備かと言うと、そうではありません。

次に紹介する自分でできる日常的なメンテナンスによって、シロアリ被害に合う可能性を下げることもできます。ぜひ実践してみましょう。

 

屋内の換気

畳の部屋のシロアリ対策として、換気はとても大切です。

畳の素材であるイグサや藁は湿気を持ちやすいため、定期的に窓を開けて外気を取り込むなどして屋内を十分に換気し、湿度が上がり過ぎないようにしましょう。

 

畳の天日干し

畳を外して屋外に干し、十分に乾燥させるのが「天日干し」です。

一般的に半年に1回、春と秋に行うことが推奨されることが多いです。よく乾燥させるため、カラっと晴れた、天候の良い日に実施するようにしましょう。

シロアリ対策だけでなく、畳を長持ちさせるためにも欠かせない作業です。

 

防虫シート

畳の下地板の上に防虫シートを敷きましょう。シートを敷いたエリアはシロアリが通過することができなくなります。

とはいえ、防虫シートの僅かな隙間からシロアリが侵入することもあります。防虫シートだけに頼らず、他の対策と合わせて実施するようにしましょう。

 

以上のような対策は、シロアリだけではなく、ダニやカビの発生を防ぐこともできるため、定期的に実施することをお勧めいたします。

また、畳のシロアリ対策は、お住まい全体のシロアリ対策と共通する点も多いです。ぜひ次の記事もご参考ください。

 

業者に依頼する畳の交換作業

自分でできるメンテナンスは確実に実施した上で、さらに万全を期すため、畳の専門業者に次のような作業を依頼しましょう。

 

畳の裏返し

実施頻度:3~5年程度に1度

畳を上げて、畳表の裏と表を逆に付け替えるのが「畳の裏返し」です。

同時に畳縁を交換することがあるものの、畳の主要部である畳表と畳床はそのまま利用するため、比較的、低コストで済みます。

 

畳の表替え

実施頻度:7年~10年程度に1度

畳表を新品に交換するのが「畳の表替え」です。同時に畳縁を交換することも多いです。

畳の裏返しを3年後に行っていれば、その7年後(合計10年後)が、表替えをする時期の目安となります。

 

畳の新調

実施頻度:20年後

畳のすべてを完全に新しくするのが、「畳の新調」です。

上記の通り、10年目に畳の表替えをしていたら、さらに10年後に畳表と畳床を新品に交換するのが目安となります。畳表の耐用年数は10年、畳床は20年ということになります。

もちろん、年数はあくまで目安であり、ほとんど劣化が見られなければ交換する必要はありません。

逆に、汚れや痛みが目立っている場合はこの年数まで待たず、早めに新調してもよいでしょう。

 

定期的なシロアリ調査と防除施工を

以上の通り、シロアリと畳の基礎知識や、シロアリ被害を防ぐ方法について基本を解説してきました。

畳をシロアリの被害から防ぐためには、定期的な床下調査や、シロアリ防除施工を行うことが最も確実です。

シロアリの専門業者に依頼すれば、床下の土壌面や木部へのシロアリ駆除用の薬剤を注入して、シロアリが畳に上がってくるのを防ぐことができます。

お住まいの安心・安全のためにも、専門家にシロアリの点検と施工を実施していただくようにしましょう。

 

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執筆・監修者

林 翔平

2012年株式会社セスコに入社。シロアリ駆除業務に従事し、延べ2,000件以上の床下調査を実施。アリプロのコラム記事全ての執筆および監修を担当。

【保有資格】
・日本しろあり対策協会「しろあり防除施工士」
・日本健康住宅協会「健康住宅アドバイザー」

 

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