表題の「シロアリと税」は一見まったく関係無いことのように見えますが、実はシロアリ駆除で「節税」することができることはご存知でしたでしょうか?
もしインターネットで調べたことのある方なら、どこかで「雑損控除」という用語を目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、詳しい法的根拠を交えながら「シロアリ被害の雑損控除」についてプロが解説します。制度を適切に活用すれば誰でも節税することができますので、関心のある方はぜひご覧ください。
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所得の「雑損控除」とは?
まず抑えておきたいのは、冒頭で触れた「雑損控除」という用語です。
雑損控除とは、1年間の間に様々な損害を受けた場合に、所得から一定の金額を差し引いて(所得控除)、所得税の対象となる課税所得を減らす制度のことを言います。
これだけ聞くと、本当にシロアリと関係があるの?と思われるかもしれませんが、次の通り、国税庁は、シロアリの駆除費用に「雑損控除」が適用されると明言しています。
シロアリの駆除費用
【照会要旨】
7年前に建築して居住の用に供していた家屋の一部がシロアリによって被害を受けたため修繕を行いましたが、この修繕に要した支出は雑損控除の対象となりますか。
また、シロアリにより被害を受けた際に要したシロアリの駆除費用はどうですか。【回答要旨】
国税庁 質疑応答事例 シロアリの駆除費用
シロアリによる被害は、所得税法施行令第9条《災害の範囲》に規定する「害虫……その他の生物による異常な災害」に該当し、修繕に要した費用及びそのシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象となります。
シロアリ被害は所得税法が定める「災害」であり、シロアリの駆除にかかった費用は「雑損控除」によって、所得税から差し引くことができるというわけです。
シロアリ駆除の「雑損控除」で節税できる金額は?
それでは、雑損控除によって節税できる金額は具体的にどの程度なのでしょうか?
雑損控除の計算式は次の通りとなっています。
雑損控除の金額
次の(1)と(2)のうちいずれか多い方の金額です。
(1) (損害金額 + 災害等関連支出の金額 - 保険金等の額)-(総所得金額等)× 10%
(2) (災害関連支出の金額 - 保険金等の額)- 5万円
国税庁「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」
用語について補足します。
まず、「損害金額」とは、資産の評価額がどのように変わったかを指します。シロアリ被害によって建物が被害を受けた場合であれば、建物を元の状態に復旧するためのリフォーム費用がこの損額金額になります。
「災害等関連支出の金額」とは、住宅や家財の取り壊し、除去、現状回復のための追加的な費用など、災害に関連して発生した支出を指します。シロアリ被害の場合であれば、シロアリ駆除業者に調査・施工してもらうための費用が該当します。
「保険金等の額」とは、災害に関連して受け取った保険金や損害賠償金などの金額を指します。シロアリ被害の場合であれば、火災保険が下りたり、自治体から給付金・義援金などを受け取ったらそれが該当します。
「総所得金額等」とは、いわゆる所得のことであり、事業収入や給与収入などから費用経費を差し引いたり、損益通算や控除などを行った後の金額です。
シロアリ駆除による節税額の計算例
計算については、実際の例をあてはめながら見ていくとわかりやすいです。次に計算例を紹介します。
所得が400万円の方がシロアリ駆除の被害に合い、シロアリ駆除とリフォームが必要になった典型的な例を考えます。
この場合、雑損控除の金額を計算してみると次の通りです。
(1) (100万円 + 50万円 - 0円)- 400万円×10% = 110万円
(2) (50万円 - 0円)- 5万円 = 45万円
この被害では(1)の110万円の方が金額が大きいため、確定申告の際に110万円を雑損控除することができることになります。
それでは、この被害例では最終的にいくら節税できるのでしょうか? 総所得金額が400万円の人は所得税率が20%となるため、減額できる所得税額は次のように計算できます。
110万円 × 20% = 22万円
この通り、総所得が400万円の人が110万円を雑損控除できるということは、所得税を22万円分、減額することができることになります。
シロアリ被害は突発的かつ多額な支出となってしまうことが多いため、このような「雑損控除」の制度は非常にありがたいものとなります。
シロアリ被害の「予防」も雑損控除できる?
ここで注意したい点が1つあります。
それは、シロアリの駆除ではなく、予防を行った際の費用にも雑損控除が適用できるかどうかということです。
結論から言えば、シロアリ被害の「予防」の費用に関しては残念ながら「雑損控除」は適用されません。
そもそも雑損控除の対象は次のように規定されているためです。
シロアリの駆除費用
なお、所得税法施行令第206条第1項第3号《雑損控除の対象となる雑損失の範囲等》に規定する「被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出」とは、切迫している被害の発生を防止するための応急措置に係る費用のように、その費用の支出の効果がその災害による被害の発生を防止することのみに寄与するものをいい(所得税基本通達70-11)、シロアリの被害を事前に防止するための費用及びシロアリの駆除とともに行う予防のための費用は、応急的措置に係る費用でないことから、雑損控除の対象となりません。
国税庁 質疑応答事例 シロアリの駆除費用
とはいえ、いくら直接的な節税ができないとはいえ、シロアリの「予防」施工は、将来の被害を防ぐために欠かせないものです。
予防を怠ったせいで大規模な被害が起こり、節税できる金額以上に損害が発生してしまったら元も子もありません。
住宅のメンテナンスや長期的な資産保全のためにも、シロアリの予防は必ず実施するようにしましょう。
参考:「雑損控除」の法的根拠
ここまで、国税庁の案内をもとにシロアリ駆除費用の雑損控除について説明してきました。
参考までに、さらに所得税法などの法的根拠をここでご紹介します。実際に確定申告をする際などにつまづいたら、できるだけ根拠となる原典にしっかりあたるようにしましょう。
所得税の法的根拠となる所得税法では、雑損控除は次のように定められています。少し長くなりますが引用します。
(雑損控除)
第七十二条 居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する資産(第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)及び第七十条第三項(被災事業用資産の損失の金額)に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額(損失の金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)が五万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。)
その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額二 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額が五万円を超える場合
その年における損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち五万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額三 その年における損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合
所得税法第72条
五万円と第一号に掲げる金額とのいずれか低い金額
この法律だけを読むと、シロアリと関係があるの?と思われるかもしれません。
そこで、所得税法施行令の該当箇所を見てみましょう。次の通りです。
(災害の範囲)
第九条 法第二条第一項第二十七号(災害の意義)に規定する政令で定める災害は、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害とする。
所得税法施行令第9条
ここでは「害虫」という言葉が出てきました。
また、雑損控除の対象として次のように説明されています。
(雑損控除の対象となる雑損失の範囲等)
三 災害により住宅家財等につき現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合において、当該住宅家財等に係る被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出
所得税法施行令第206条第1項第3号
以上をまとめると、シロアリなどの害虫による被害は所得税法の定める「災害」であり、害虫の駆除にかかった費用は「雑損控除」して、所得税から差し引くことが可能と解釈できます。
さらに、被害の「予防」に関する費用の扱いは、所得税基本通達で次のように触れられています。
(災害関連費用に含まれる被害の発生防止費用)
70-11 令第203条第3号に規定する被害の発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための費用とは、切迫している被害の発生を防止するための応急措置に係る費用のように、その費用の支出の効果がその災害による被害の発生を防止することのみに寄与するものをいうものとする。
したがって、被害の発生を予測して支出する費用であっても、修繕等を施す費用は、原則として、同号に規定する費用には該当しないことに留意する。
所得税基本通達 70-11
この通り、雑損控除の対象は「切迫している被害の発生」に対して、「応急措置」を行うための費用だけであると説明されていることがわかります。
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【保有資格】
・日本しろあり対策協会「しろあり防除施工士」
・日本健康住宅協会「健康住宅アドバイザー」
総所得金額:400万円
リフォーム費用:100万円
シロアリ駆除費用:50万円
保険金等:なし